研究テーマ

1.地球環境問題の解決にむけた研究と教育実践

【領域】環境創成学、環境教育学、環境探究学

【所属学会・研究会】日本環境教育学会、環境探究学研究会、自然文化史研究会

【所属組織】アースウォッチ・ジャパン(EWJ)、日本環境教育フォーラム(JEEF)

2.森林資源管理における研究と実践

【領域】森林政策学、地域研究

【所属学会・研究会】日本森林学会、林業経済学会、木材利用システム研究会、日本南アジア学会

3.数理教育の推進と市民科学者の育成

【領域】理数科教育、情報学基礎

【所属組織】ハンズオン・マス・研究会、数理女子

これまでの研究および研究の概要

1.インドに関する調査研究

①インドでのフィールドワーク

インドでは、アマルティア・セン博士やサティシュ・クマール氏など、尊敬する研究者や実践家が多く輩出されており、彼らの研究実践から多くを学んできた。とりわけ自分が敬愛する方はVandana Shiva博士である。彼女が代表を務めるNavdanyaの農園に通い、その後、インターンとして滞在してきた。彼女の研究とフィールド農園での成果と課題について報告した(nagahama et al.2014)。

②博士研究

森林管理自治組織であるVP(Van Panchayat)により管理されている村落を対象として、1)森林の「コモンズ的」利用(地域住民による共同的利用)と管理および住民の意識を明らかにし、2)村落レベルでの森林管理規則と森林資源調査による比較分析を通じて、3)持続可能な森林利用と管理の特性を特定することを目的とする。ウッタラーカンド州テーリー・ガルワール県で1990年代以降にVPが創出された村落において、世帯レベルでの半構造的面談調査により、森林管理の衰退を指摘した(Nagahama et al.2016a)。またVPの創出過程を、植民地時代の森林政策史とからめて考察し、「VP規則」における州規則改正により、規制強化の傾向があることを論じた(Nagahama et al.2016b)。さらに地域規則と資源利用について4つの村落で聞き取りと樹木調査を実施して、森林管理への住民参加を高める要因を明らかにした論文(Nagahama et al.2019)を2019年3月に発表した。2021年4月には筑波大学で博士論文が受理された。2022年10月に発表した論文では、地域に根ざした森林管理についての課題を論じた(Nagahama et al. 2022)。

③日印共同研究

櫻井武司先生(東京大学)を研究代表者として、インド人研究者3名、日本人4名(申請者を含む)の研究グループを形成して、「農村資源の重層的ガバナンスの歴史と現在:日印の比較制度分析」を行ってきた。申請者は、環境学の見地からインドにおける森林資源ガバナンスに関与して、研究を進めている。平成31年3月で科研は終了したが、メンバーらが研究論文を持ち寄り、論文著作集(共著)の出版準備を進めている。二国間交流事業 共同研究報告書

2.国内での森林に関する調査研究活動

①東京大学斎藤馨研究室でのプロジェクト「サイバーフォレスト」

自分が所属していた斎藤馨研究室では、国内の複数の樹林地にビデオカメラを設置して、映像と音をモニタリングしており、環境教育に関する教材研究および実践研究を蓄積している。日本環境教育学会で口頭発表を行い、「資料」として「環境教育」において発表した(長濱他2015)。

②福岡県久留米市田主丸財産区

財産区有林は地域住民が管理するコミュニティ林の事例であり、インドの森林パンチャーヤト(住民自治組織)との比較が可能であると考え、林地でのフィールドワークをはじめ、財産区議長との面談や議員からの質問紙調査を始めている。2022年10月に九州森林学会で、口頭発表を行った。2024年3月には、これまでの実践と研究をまとめて、論文を発表した(長濱 2024)。

③大分県日田市高瀬地区

大分県の日田は、静岡県の天竜、奈良県の吉野と並び、有数な林業地域であり、「日田スギ」は、ブランド材としての地位を古くから確立してきた。高瀬生産森林組合と林地を訪れ、高瀬地区における学校林に着目して、森林の持続的利用と管理のための要因について考察し、「環境探究フォーラム2023」にて発表をした。

3.途上国の森林減少と保全に関わる実践研究

学校や研究機関等において、世界の森林減少と保全をテーマに、途上国の調査地(インドのVP林やケニアのマングローブ林など)を事例とした授業実践を蓄積している。実践研究として日本環境教育学会から口頭発表を行い、「環境教育」では研究論文として2017年に発表した(長濱他2017)。小学校や予備校・大学などの教育機関や地域で、研究のアウトリーチ活動として出前授業を行っている。

4.他大学との共同研究

2013年以降、南山大学社会倫理研究所の篭橋研究員らと「ガバナンスと環境問題」研究プロジェクトに参加しており、2014年の国際会議の報告(英語版および日本語版)を共著で作成した。(篭橋・長濱ら 2016

2015年からは、東京大学総合研究センターの栗田佳代子教授らと連携して「大学教員をめざそう」とするFFPの授業と研修の構築を行い、研究に関与してきた。(東大FFP

5.質的(定性的)研究を学ぶ会

森林社会学および環境学、環境教育研究において、社会学的アプローチへの関心が高まっており、「質的研究」はデータの収集方法も分析方法も多様である。環境教育学会のメンバーとともに、数年前から「質的研究を学ぶ会」(以下、質的研究会)を組織して、毎月1回の研究会を行っている。質的研究は量的研究と比較して「サンプル数が少ない」「客観的でない」という批判があるため、水準の高い質的研究をどのように行うかが課題である。毎年、日本環境教育学会の研究大会では「自主課題研究」のセッションで、ワークショップを開催しているので、ぜひご参加ください。(園田・長濱ら 2020

6. 環境探究学研究会(環探研)による実践研究

認定NPO法人アースウォッチ・ジャパン(EWJ)主催の花王・教員フェローシップに参加したメンバーが集まり、そこでの経験や学校現場での取り組みなどを議論し、教材開発や学術論文として投稿するための研究会として、2018年3月より、「EW環境教育研究会(仮名)」を発足させ、十数回におよぶ研究会を開催してきた。2019年度より「環境探究学研究会」と名を改め、多種多様な専門分野と現場経験を有する会員を広く集めることで、横断的な学問である「環境学」と「探究教育」を融合し、新たな学問体系としての「環境探究学」の体系化することを目標として、研究・実践活動を行っている。(長濱2019)では、環探研のエッセンスを紹介している。毎年3月に研究大会を開催している。小学生以上ならば、誰でも研究発表が可能ですので、ぜひ一度、HPを訪れてみてください。

環境探究学研究会(google.com)

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